ホーム > Topics >

ペースメーカ患者さんにとっての遠隔モニタリングのメリットと心房細動の管理(1)

ペースメーカ患者さんにとっての遠隔モニタリングのメリットと心房細動の管理(1)
杏林大学医学部付属病院 不整脈センター 佐藤俊明先生と、専任看護師 前田明子先生

ペースメーカをご使用の患者さんで、ご本人が気付かぬうちに心房細動を発症しているケースがあります。その割合は患者さんの37%*1と決して少なくありません。心房細動の早期発見に貢献する遠隔モニタリングシステムについて、杏林大学医学部付属病院 不整脈センター 佐藤俊明先生と、専任看護師 前田明子先生にお話を聞きました。

*1: Cabrera S, Mercé J, et al. Pacemaker clinic: an opportunity to detect silent atrial fibrillation and Improve antithrombotic treatment. Europace (2011) 13(11): 1574-1579

遠隔モニタリングシステムとは
電話回線を通じて患者さんのデバイスデータを収集し、インターネット回線によりパソコンなどから閲覧する仕組みのことです。

ペースメーカ外来診療の補助

── ペースメーカ患者数は毎年増加しており、患者数が減ることは決してない現状があります。遠隔モニタリングは、診察の効率化を図りながらもより詳細にペースメーカのデータを確認・分析するために非常に有用だと言われています。
遠隔モニタリングについて、どういうシステムでどういうメリットがあるのか、医療の現場にいらっしゃる立場から教えて頂けますか?

佐藤先生:遠隔モニタリングのメリットは2つあります。ペースメーカやICD外来の診療補助と、異常の早期発見です。
ペースメーカには遠隔モニタリング対応と、未対応の機種があります。最近は遠隔モニタリング対応の機種が増えてきており、当院では、遠隔モニタリング対応の機種を患者さんにお薦めすることが多いです。2015年10月現在、杏林大学病院では450名以上の患者さんに遠隔モニタリングをもちいた診療を受けていただいています。

── ペースメーカ外来の診療補助というのは具体的にどのようなことでしょうか。

佐藤先生:当院では水曜午後のペースメーカ外来を40-50名程度の患者さんが受診されます。以前は、患者さんが診察室に入られてから、プログラマという専用の機器をもちいてペースメーカのデータを直接読み取り、その場で確認・分析していました。現在は、来院される前に、遠隔モニタリングによりペースメーカのデータ確認は既に終わっています。

前田先生:外来を受診される前に遠隔モニタリングによってペースメーカのデータが届いていれば、ペースメーカ専任看護師、臨床工学技士、経験を積んだ医師らのチームでデータの解析から対応の検討を行うことが可能です。
診察室では、来院される患者さんとしっかりと向き合って診療を行えるようになった印象があります。これまでは、診察室にはいられてからデータの読み取りと解析をしていたため、患者さんと十分にコミュニケーションを取る時間を割けない場面が多くありました。遠隔モニタリングの導入後、医師や看護師と向き合い診療を受ける時間が増えたことは、患者さんの安心感につながると思っています。

以前は来院されてから診療を受けていただくまでの待ち時間が長かったのですが、遠隔モニタリングを導入してからは、効率良く診療がすすむため、患者さんやご家族をお待たせすることが少なくなりました。

佐藤先生:外来を受診される前にペースメーカのデータ解析から対応の検討まで行うことが可能となり、かつ外来患者さんの待ち時間を短くできるため、ペースメーカ外来の診療補助として遠隔モニタリングを使用するメリットは大きいと考えます。