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最新のペースメーカの機能について(後編)

最新のペースメーカの機能について(後編)

現在、年間で約6万件行われていると言われているペースメーカ手術。
最近のペースメーカ事情について、不整脈、心不全の非薬物療法を専門にしている日本大学医学部内科学系循環器内科学分野・中井俊子先生にお話を伺いました。

今回は後編として、「最新のペースメーカの機能について」をレポートいたします。

最新のペースメーカではMRIも可能に

── 最近のペースメーカではMRI対応のものが普及し始めています。その点についてはいかがでしょうか?

患者さんから「MRIを撮ることができない」というがっかりした声をよく聞いていました。ペースメーカは、足、ひざ、腰などの変形性の疾患が現れやすいご高齢の方の使用が多いので、患者さんがMRI検査を受けられることは、これらの病気の診断・治療において非常に大切です。

患者さんが腰や脚に痛みを感じ整形外科にかかる際、「MRIを撮ることができない」という理由で診断ができず、根治治療ができず、痛みに対する対症療法だけとなってしまい、この状況に耐えている患者さんがたくさんいらっしゃいます。

また、脳梗塞における急性期の診断は、CTに比べてMRIの方がより正確な診断ができるので、やはりMRI対応ではないという事は大きなデメリットだと思っていました。従って、MRI対応のペースメーカが普及し始めているということは大変喜ばしいことだと思っています。

10年の電池寿命で患者さんの負担が軽減

── ペースメーカの場合、電池の寿命が非常に大切な要素とうかがっています。現在はどのように変わってきているのでしょうか?

10年前のペースメーカの電池寿命は5年〜7年程度でしたが、現在は10年程度の電池寿命をもつ製品が発売され、患者さんの生活をよりサポートすることが可能となっています。

ペースメーカを入れると、患者さんはペースメーカと一生お付き合いすることになります。現在、人々の平均寿命は長くなっていますので、それだけペースメーカの電池交換の回数が増加します。

10年前は、ペースメーカを入れる患者さんの年齢が60歳代から70歳代でしたが、現在は70歳代から80歳代に変化しています。私も電池交換のための手術をしていますが、交換手術回数が3回目や4回目という患者さんも少なくありません。また、入院して行う手術であるため患者さんへの負担は大きくなってしまいます。手術をする度に、「感染」や「合併症」の危険が出てくるので、電池寿命は長ければ長いほど患者さんにとってもメリットがあります。電池寿命が10年を超えることは、患者さんへの負担が軽減されることにつながります。

薄くて小さいものがリスクもストレスも少ない

── さらに最近ではペースメーカも小型化されてきています。どのようなメリットがあるのでしょうか?

手術痕の大きさに違いが生じるので、やはり小型のほうが患者さんのストレスが少なくてすみます。鎖骨の少し下の辺りを切開して「ポケット」というペースメーカを入れる部分を作成しますが、なるべく小さいほうが患者さんへの負担は軽いですし、出血も少なくてすみます。

現在、使用可能なペースメーカは、小さいもので「4センチ〜4.5センチ」、大きいもので「5センチ〜6センチ」ほどの幅だと思います。大きさも大切ですが、植え込んだときに厚みがあると負担になりますので、切開の幅だけではなく厚さも含めた全体の容量を含めて考える必要があります。当然、薄ければ薄いほど患者さんにとって負担が軽減されますし、痩せ型の女性の患者さんでも目立たずにすみます。

ワイヤレスによって手術時間を短くすることが可能に

── 最近はフルワイヤレスの新しいものも出てきています。それは先生や患者さんにとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

従来ですと、ペースメーカ本体とリード線を接続することで植込みを行い、手術が終了してから最終チェックを行っていました。ワイヤレスを使用すれば、手術の進行と同時にペースメーカチェックを行えるので手術時間をより短縮できます。また、手術後にもし何か異常が出た場合、手術を再度やり直さなければいけなかったのですが、ワイヤレスですと途中で「異常」に気づき修正ができますので、非常に便利です。この点が私がワイヤレス機器を使用したい理由です。

また、患者さんがご自宅からワイヤレス通信を使って医師と情報共有できるようになれば、患者さんの不安を解消することができます。患者さんが不安を感じたときに病院にご連絡を頂いた際、送られてきたデータを医師が確認し、必ずしも患者さんが病院にいらっしゃらなくても解決できる場合もあります。また逆に、データの異常があった場合には医師の方から患者さんに連絡することもできます。