小児用ペースメーカー

手術について

監修:神奈川県立こども医療センター 心臓血管外科部長 麻生 俊英 先生

新規植込み手術の場合

手術内容について

子供の場合、血管が細いので、血管が詰まってしまう可能性と、成長に伴ってリードの長さが足りなくなり、結果、リードが伸びきってしまう可能性があります。手術を担当する医師によっても違いますが、7歳くらいで体重が15kg〜20kg以上あれば、経静脈的に植え込んでも良いと考える先生もいらっしゃいます。例えば、身長110cmのお子さんが170cmになった場合、身長は60cm伸びることになります。その成長によってペースメーカーから静脈を介して心臓に到達するまでの距離は、5〜7cm延びると考えられます。ですから、リードにその分のたわみを作る必要があります。
子供の場合、これから60年、70年とペースメーカーとお付き合いすることになりますので、その間、別のリードに交換する必要が出てきます。DDDの場合は、リードを2本入れますので、リードを交換するときに(引き抜くことが困難な古いリードが心臓内に残されることや、リードにより三尖弁の障害が引き起こされるなどの)問題が発生する可能性があります。このようなことを考慮しながら、リードを経静脈的に挿入するのか、開胸手術(外科的に心臓の表面に直視下で心筋リードを縫い付ける手術)でリードを入れるのかを総合的に判断します。体の大きさ、手術内容によって経静脈的にリードを挿入することができない場合は、外科的にペースメーカーとリードを植え込むことになります。胸を開けて入れるのは主に新生児や、手術をして人工弁などを入れているお子さんが対象となります。
ペースメーカーを植え込む部位も様々です。胸、上腹部、腋(わき)の下に入れる場合などがあります。腋の下に植え込む場合、腋の下は皮膚に余裕があるので、植込み部位が目立ちません。新生児の場合は、小さいペースメーカーを植え込むと電池が長持ちせず、再手術によってペースメーカーの交換を余儀なくされることがありますので、大きいペースメーカーを植え込むことがあります。その場合、皮膚の内側にあるペースメーカーが目立ってしまいますので、なるべく皮膚に余裕のあるところに植え込みます。

手術時間について

手術時間はリードを経静脈的に挿入するか、或いは開胸手術で留置するかにより、異なります。経静脈的に挿入する場合、手術時間は大人の手術とほぼ同じで、一般的には1−2時間のことが多いです。
大人と違うところは、小学校、中学校の最初の頃まで、全身麻酔になる場合があります。開胸手術する場合は、心外膜が癒着しているか否かによって、手術時間が異なります。過去に心臓の手術を受けている場合は、癒着剥離やリードを留置する場所を決めるために少し時間がかかる場合があります。ですから、過去に心臓の手術を受けている方は、受けていない方に比べて、1時間ほど長く手術時間を要することがあり、症例にもよりますが、多くの場合、2−4時間かかると考えられます。

痛みについて

開胸手術の場合は全身麻酔で行われますので、手術中の痛みはありません。しかし、術後は痛みを感じる場合があります。ペースメーカーを植え込む部位にもよりますが、上腹部に埋め込む場合の方が痛みは弱いかも知れません。ただ、胸壁に入れた場合も痛みが長期間続くことは少なく、退院する頃には痛みがほぼ消失していることが多いです。

ペースメーカー交換手術の場合
局所麻酔で手術が受けられる年齢になっている場合には、ペースメーカー植込み部位の周辺に麻酔を行い、古いペースメーカーを取り出し、リードの状態を確認します。リードに異常がなければ、そのリードに新しいペースメーカーを接続して、再びペースメーカーを皮膚の中に植え込みます。手術は1時間ほどで終わるケースが多いです。術後の痛みも殆どありません。医療機関にもよりますが、初めてペースメーカー手術を受けた時に比べて、早期に退院できる場合もあります。